こどもの読書(よみかき)
−教科書あれこれ−

蔵出し資料展《温故知新》

県立図書館の書庫には100年の蓄積で、およそ60万冊の資料があります。県民の財産であるこれらの資料をいろいろなテーマによってお見せする「蔵出し資料展」を開始しました。

今回は、こどもの読書週間(4月23日〜5月12日)にちなんで、初等教科書を紹介します。江戸時代の往来物から明治・大正・昭和の国定教科書などを展示します。このほかに教科書センターから寄贈された現代の教科書も所蔵していますのでお問い合せください。

期間
2007年4月24日(火曜日)〜
場所
2階参考カウンター前

(2007年5月6日作成)

寺子屋の教科書「往来物」

寺子屋での教育は、日常生活に必要な読み書きと計算の基礎を学習することであった。毎日の学習は、大部分が手習いで、それに読みがともない、希望する子どもにそろばんを教えていたのである。・・この初歩の手習いが終わると、内容のある往来物の手習いと読み方が学習されることになる。(『教科書の変遷 東京書籍五十年の歩み』抜粋)

書名 歴史科教授用参考掛図 第5輯
著者名
出版社 東京帝国大学文科大学史科編纂掛
出版年 1911年12月
請求記号 Q375.32−D7
内容紹介 寺子屋の図。
書名 弘化新板 庭訓往来 全 平仮名附
著者名
出版社 京都書林
出版年 1846年9月
請求記号 W370.9-A
内容紹介 『庭訓往来』は、中世から近世へわたるわが国初等教科書の代表とも見られて、士庶の子弟にあまねく普及した。内容は、1月から12月までの25通の書簡であり、著者は玄恵とする説もある。(『日本教科書大系 第3巻 古往来 三』抜粋)
武田信玄は8歳で長禅寺で手習い、学問を学んだがその中に『庭訓往来』が加わっていた。(名将言行録 巻之七)
その他の「往来物」資料
書名 著者名 出版者 出版年 請求記号
四民往來 士 上・下 中村 平吾 植村藤右衛門 1735年7月 R816−A
四民往來 農 中村 平吾 植村藤右衛門 1735年7月 R816−A
四民往來 工 中村 平吾 植村藤右衛門 1735年7月 R816−A
四民往來 商 中村 平吾 植村藤右衛門 1735年7月 R816−A
商賣往来 山口県 R375.96−A

明治時代初期の教科書

明治5年学制が公布されて、「小学教則」で教科書が例示されているが、これらは教科書として出版されたものではなく、一般啓蒙書、翻訳本、江戸時代からの往来物などであった。教科書の編集は東京師範学校で行われ、文部省は各府県にその師範学校編集本の翻刻によって普及を図った。(『図録日本教育の源流』抜粋)

書名 単語篇 上・下
著者名
出版社 山口県
出版年 1873
請求記号 R375.98−A
内容紹介 明治五年に文部省により刊行された単語を教授するための教科書。明治初年の小学校に普及し、『小学読本』よりも翻刻部数が多かったと言われる。
書名 小学読本 巻一  
著者名 文部省編纂
出版社 師範学校彫刻 北条県下文華堂反刻
出版年
請求記号 W375.98
内容紹介 最も広く普及した翻訳教科書。巻一,二は当時アメリカにおいて普及していたウィルソン・リーダーの翻訳によって作られた。

明治・大正・昭和の教科書

明治19年から教科書の検定制度が実施されることになった。

さらに明治23年の教育勅語ならびに新「小学校令」に基づき、24年11月「小学校教則大綱」が定められ、(中略)明治25年から数年間に新しい教科書が数多く出版された。

明治31年児童の近視眼防止の対策として教科書の文字の大きさ、印刷などについて標準が定められ、明治33年「小学校令」改正、それに基づく「小学校令施行規則」の制定にともなって明治33年から34年にかけて多くの教科書が出版された。

また小学校教科書の国定制度は明治36年4月「小学校令」を改正し確立された。

国定教科書は第二次世界大戦後の昭和22年まで続いた。(『教科書の変遷 東京書籍五十年の歩み』抜粋)

書名 著者名 出版者 出版年 請求記号 備考
新撰帝国読本 卷1〜8 学海指針社‖編 集英堂 1899 R375.98−C 9 尋常小学校読書科生徒用
尋常小学国語読本 大正世代篇 巻1〜12 学海指針社‖編 集英堂 1899 R375.98−C 9
小学国語読本 尋常科用 巻1〜12 学海指針社‖編 集英堂 1899 R375.98−C 9 国定国語教科書 第四期 大阪書籍 昭和八年刊の複製
『教科書大系 近代編』で見る明治・大正・昭和の教科書
書名 著者名 出版者 出版年 請求記号 備考
日本教科書大系 近代編第4巻 国語 一 海後 宗臣‖編纂 講談社 1964年1月 R375.9−J1 明治初年より明治十年代に至る教科書
日本教科書大系 近代編 第5巻 国語 二 海後 宗臣‖編纂 講談社 1964年3月 R375.9−J1 明治二十年代の検定教科書
日本教科書大系 近代編 第6巻 国語 三 海後 宗臣‖編纂 講談社 1964年4月 R375.9−J1 明治三十年代の検定教科書、第一期国定国語教科書
日本教科書大系 近代編 第7巻 国語 四 海後 宗臣‖編纂 講談社 1963年11月 R375.9−J1 国定国語教科書第二期、第三期及び第四期の第三学年まで
日本教科書大系 近代編 第8巻 国語 五 海後 宗臣‖編纂 講談社 1964年6月 R375.9−J1 国定国語教科書第四期第四学年からと第五期
日本教科書大系 近代編 第9巻 国語 六 海後 宗臣‖編纂 講談社 1964年11月 R375.9−J1 国定国語教科書の第六期と昭和二十二年以後の国定国語教科書

参考資料

  • 『日本教育史資料 九』 文部省、1892、R372.1-C0
  • 『日本庶民教育史 下巻』 乙竹岩造著、目黒書店、1929、R372.1-F9
  • 『図録 日本教育の源流』 石川松太郎著、第一法規、1984、Q372.1-L4
  • 『教科書の歴史』 唐澤富太郎著、創文社、1956、R375.9-I6
  • 『教科書の変遷』 東京書籍、1959、R375.9-I9
  • 『日本教科書大系 第3巻 古往来 三』 講談社、1968、R375.9-J1
  • 『小学読本便覧 第1,2巻』 古田東朔編、武蔵野書院、1988、R375.98-L3