マイ・ベスト・ブック 〜この本、おすすめ!〜 |
山口県立山口図書館 新刊児童書研究会編集
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定) TEL083-924-2111。 FAX083-932-2817。 |
このブックリストは、新刊児童書研究会メンバーが推薦する本のブックリストです。子ども読書活動推進にお役立てください。 |
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<絵本> | ||
〇あめがだーいすき そうまこうへい作 かとうあやこ絵 佼成出版社 2006.5 |
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雨音だけを聞きながら静かに読みたい絵本。たっぷりの余白から雨の日の思い出がにじみ出てくる。鉛筆の線と、ちょっとくすんだ色遣いが、何ともいえず懐かしい。大人の方が好きな本かもしれません 。(M.S) | ||
〇はらぺこヘビくん みやにしたつや作・絵 ポプラ社 2006.4 |
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後半、来るぞー、来るぞーと待ち構えていた大波が、どぱーんとやってくる。思いっ切り力わざなんだけど気持ちいい爽快感が残るのは、作者も楽しんで書いてるからなのかな。表紙の次に、ちゃーんとオチの前フリがあるので、読み聞かせた後にもう一度見せてあげないと。 (M.S) | ||
〇アンジェロ デビッド・マコーレイ作 千葉 茂樹訳 ほるぷ出版 2006.5 |
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ヤング・アダルト向けの絵本。壁塗り職人アンジェロは、仕事中に傷ついたハトを見つけ、連れて帰って手当てをした。月日を重ねるうちにアンジェロとハトは、お互いかけがえのない存在になっていく。年老いたアンジェロは、最後の仕事にスタッコ(壁塗りの材料)でハトの巣を作ってやり、この世を去る。老いと死を描いた作品ではあるが、全体が上質なユーモアで包まれているので暗さは感じない。ひとりでゆっくりと味わいたい作品。 | ||
〇おとうとは青がすき アフリカの色のお話 イフェオマ・オニェフル作・写真 さくま ゆみこ訳 偕成社 2006.6 |
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写真がとても鮮やかで、見ているだけでも楽しい。その写真の説明を、お姉さんが弟のことを話すという形でしているが、アフリカの文化や人々の暮らしがよくわかる。子供たちも、自分たちとは異なる日常を過ごすアフリカの子供たちの暮らしぶりを知り、新たな世界を知る一歩となると思う。 (C.Y) | ||
〇のぞく 天野祐吉文 後藤田三朗写真 大社玲子絵 福音館書店 2006.5 | ||
のぞくって楽しいね。ワクワクするね。ドキドキするね。そして、ちょっとこわいね。のぞくって目をこらすこと、耳をすますこと、感性をとぎすますこと。あちこちのぞいてみて、いろんなことを知りたいね。 (W.Y) | ||
<小学生向き読み物> | ||
〇れいぞうこのなつやすみ 村上しいこ作 長谷川義史絵 PHP研究所 2006.6 |
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れいぞうこだって夏休みほしいねんて。れいぞうこだってかぞくの一員なんやで。わが家は、お母ちゃんが、小1のぼうずにこの本を読んでたんや。そのうち、中1の兄ちゃんも加わり、しまいにはお父ちゃんまで入ってきた。お母ちゃんの関西弁がじょうずやったからやな。さいごに、小1のぼうずがさけんだ。「れいぞうこのしっぽ、ひっぱりたーい。」なんのことって?それは読んでからのお楽しみ。 (W.Y) | ||
<ティーンズ(中・高生)向き 読み物> | ||
〇ベラスケスの十字の謎 エルアセル・カンシーノ作 宇野和美訳 徳間書店 2006.5 |
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17世紀のスペインを代表する宮廷画家ベラスケスの名画「ラス・メニーナス(侍女たち)」にまつわる、美術史にも特筆される謎が、その画の中の登場人物の1人で、イタリアから異形の者(小人)としてスペインの王宮に連れてこられた少年ニコラスの目を通して解き明かされていくミステリー。 その当時の王族貴族の生活や、実在の人物を登場させながらの史実と虚構が織りなすファンタジー、そして絶望の底から誇りと信念をもって王宮で成長していくニコラスの心の動きなど、いずれも好奇心をかきたてられる力のある作品。 (S.J) |
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〇イサナと不知火のきみ たつみや章作 講談社 2006.5 |
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神とともに生きる海の民、綿津見一族と、不知火の海を支配する龍一族の海洋冒険ファンタジーシリーズの第1弾。 続きものなので、この作品だけでよしあしを判断することはできないが、海を舞台にダイナミックに展開するストーリーには心引かれる。浜辺での人々の生活ぶりも雰囲気がしっかりと伝わってくる。「日本人は、海とは切っても切れない生活をしながら、海が舞台となっている物語はあまりない」と後書きに書かれているが、いわれてみればそのとおりだ。この勢いを失わずに展開していくことを期待する。 (N.Y) |
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〇都会(まち)のトム&ソーヤ 4 四重奏(カルテット) はやみね かおる作 講談社 (YA! ENTERTAINMENT) 2006.4 |
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勉強ができて、美形で、大金持ち。完ペキなハズの創也なのに、シリーズがすすむごとにどんどんボロが出てくるような。ボケとツッコミが固定しないところがこのコンビのおもしろさでしょう。脇役たちにもなじんできて、それぞれが主役の短編も、楽しく読めるようになってきました。内人(ないと)と創也のおばあさんの登場が待ち遠しいです。細かいところに、納得のいかない部分もありますが、「楽しいんだからいいじゃない」という気にさせられてしまう作品です。 (M.S) | ||
<ノンフィクション> | ||
〇南極のコレクション 武田剛著 フレーベル館 2006.6 | ||
南極観測隊に同行し、1年4カ月を船の上で過ごした新聞カメラマンによる記録。南極をさまざまな角度からカメラにおさめている点が興味深い。解説文はやさしい表現で書いてあるので、小学校中学年くらいから理解できるだろう。一昔前の南極探検のエピソードや、温暖化による南極の変化などがコラムとして書いてあり、興味をそそる。キュウリを月に1本
42人で分け合いながら食べるというのも驚きだった。 南極について広く盛り込まれているが、できればさらに深く知りたい読者のために参考文献一覧をつけてほしかった。 (N.Y) |
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〇あきらめないこと、それが冒険だ エベレストに登るのも冒険、ゴミ拾いも冒険! 野口 健著 学習研究社 2006.6 |
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世界七大陸最高峰の登頂に世界最年少で成功した著者による、力強いメッセージを盛り込んだ作品。 成績不振に加え暴力事件を起こし、1カ月の謹慎処分を受けていたときに出会った1冊の本『青春を山に賭けて』(植村直己著)がきっかけとなり登山を始めたこと、エベレスト登頂には2度も失敗し、あきらめかけたけれども再挑戦したことなど、自分の体験談を正直に語っている姿勢は子供たちに好感を持たれると思う。登山家として記録を追うことより、環境保護活動に取り組んでおられる姿も印象に残る。「生きる力」を与えてくれる作品。 (N.Y) |