マイ・ベスト・ブック 〜この本、おすすめ!〜
No.3 (2007.2)

山口県立山口図書館 新刊児童書研究会編集 
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定) 
TEL:083-924-2111   FAX:083-932-2817  
    

  このブックリストは、新刊児童書研究会メンバーが推薦する本のブックリストです。子ども読書活動推進にお役立てください。

 <絵本>
〇いっぽ にほ さんぽ!
    いとうえみこ文 伊藤泰寛写真  ポプラ社  2006.11
   『うちにあかちゃんがうまれるの』に続く写真絵本。なんて楽しそうに歩くんだろう。自分の世界が劇的に広がった瞬間、その喜びがあふれてくるような笑顔。命のキラメキを感じる本。(M.S)
〇だいじょうぶ だいじょうぶ(大型版)
    いとうひろし作・絵  講談社  2006.10
    「だいじょうぶ だいじょうぶ。」おじいちゃんがくれる魔法のことば。大型版になって、読み聞かせにも使いやすくなりました。(M.S)
〇ハンタイおばけ
    トム・マックレイ文 エレナ・オドリオゾーラ絵 青山南訳 光村教育図書  2006.10 
 ある日とつぜんネイトの前にあらわれたハンタイおばけ。はんたいのことばかりするので、ママやせんせいにおこられるし、大迷惑。いたら困るけど、いないとちょっと物足りない。不思議な魅力のあるハンタイおばけです。(M.S)
〇とらとほしがき
    パク・ジェヒョン再話・絵  おおたけきよみ訳  光村教育図書  2006.11     
 パク・ジェヒョンの描く虎が印象的で、なぜだか表紙の絵がずっと頭から離れません。本の中の虎の表情や虎の姿かたち、それに細かく書かれた松の葉を含む背景全体の色使いまで絵の魅力のとても大きい作品です。そして以前どこかで聞いたことのあるような韓国の昔話です。「知らない」ということが、本人にとってはすごく真剣で、コワイことなのに、傍から見れば何と滑稽か。韓国では国民的に有名な「とら」と「ほしがき」の関係。まずは想像の世界を味わい、二つの関係を知って、その結末に笑ってください。(Y)
 <小学生向き読み物>
百まいのドレス
    エレナー・エスティス作  石井桃子訳  岩波書店  2006.11
     この3月に100歳の誕生日を迎える石井桃子が、50年前『百まいのきもの』というタイトルで出版された作品を改訳した。「マデラインが考えに考え抜いたあげく、やっとたどりつけた『だまって見てなんかいないこと』という決意が、この物語を読んだ一人ひとりの子供たちの胸に届くことを願っています。」という後書きが心に残る。古さを全く感じさせない。むしろ今の時代にこそ多くの人に届けたい作品。(N.Y)
たそかれ
    朽木祥作  福音館書店  2006.11
     「ハンサムとか美形」につられた不純な動機で読み始めたのですが…。「不知」とは美しく霊力の強い河童の名。60年間ひとりぽっちで学校のプールから離れられなかった不知が、「麻」を通して自らが納得して散在ヶ池に戻っていくまでを描いた物語です。麻の疑問が解けていく過程は、こちらをスッキリさせてくれ、不知の身に起こった出来事と心境の変化をよく表した、なかなかおもしろい作品でした。迎えにきた「八寸」と手をつなぐ不知。二人の後姿がなんともさわやかな印象で残ります。読み終えたら、前作の『かはたれ』もオススメです。(Y)
 <ティーンズ(中・高生)向き 読み物>
〇ズッコケ中年三人組 age41
      那須正幹作  ポプラ社  2006.12     
  中年シリーズ第2弾は、今流行の「占い」がテーマとなり、ズッコケシリーズ再登場人物が占い師として出てきます。それぞれの立場や状況が違っても「同級生」という絆でつながっているようにも感じました。中年になった三人組にがっかりする人もいるかもしれませんが、私は、懐かしい同級生に再会した気分でした。できれば子供ではなく、子供の頃ズッコケシリーズを読んでいた、中年三人組と同世代の人に読んでほしいと思います。(S.Y)
〇獣の奏者 T闘蛇編 U王獣編
      上橋菜穂子作  講談社  2006.11     
  一族の掟を破り、我が身にかえて娘の命を救った母。その謎めいた母をもつ主人公の少女エリン。闘蛇という獣を操る一族の村に生まれたエリンの物語。思わず吸い込まれるように読み進んだ珠玉の名作です。翻訳本にはない美しい日本語で書かれた凛とした文章で、生きるものに対する畏敬の念を抱かせながら、読み手によって色々な顔を見せる力強い作品です。小学校高学年から大人まで幅広く読まれる本であり、読み手の心に何かを残してくれる2006年版のファンタジーではbPのお薦めの本です。中でも特に中高生の皆さん、是非一度読んで自分の目で確かめてほしいと思います。(K.U)
〇嵐の季節に
      ヤーナ・フライ作  オスターグレン晴子訳  徳間書店  2006.11     
  ドイツの思春期精神科で治療を受けている少女ノラの話。ノラの心情に寄り添い過ぎず、離れ過ぎず、誠実に描かれている。同世代のYA(ヤングアダルト)には共感をもって受け入れられる部分があるだろう。また、大人の読者には、デリケートなYAたちの心情を理解する一助になるのではなかろうか。(Y.N)
 <ノンフィクション>
〇干し柿
     西村豊作  あかね書房  2006.10   
  しぶ柿を干し柿にしていく過程を写真と文章でわかりやすく解説した作品。小学3年生の娘は、読んだ後すぐ「作ってみたい」と興味を示した。小学校の総合学習でも使える内容だと思う。学校図書館にぜひ置いてほしい。(Y.N)
 <詩・短歌・俳句>
〇日常の短歌  そこにいますか
    穂村弘編  西村敏雄絵  岩崎書店  2006.11     
 新旧14人の歌人が日々のふとしたことがらを31音にこめた短歌が、見開き1ページに1首ずつ、味のある絵とともに掲載され、さらに各ページにもうひとめくり折り込みページがあり、選者のひと言が添えられている。昔の有名な歌人の味わい深い歌から現代の歌人のユーモアあふれる歌まで、大人でも子供でも楽しめそう。(O.M)
  
以上です。

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