マイ・ベスト・ブック 〜この本、おすすめ!〜
No.5(2007.12)
山口県立山口図書館 新刊児童書研究会編集
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定)
TEL:083-924-2111 FAX:083-932-2817
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定)
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この「マイ・ベスト・ブック」は、新刊児童書研究会のメンバーが推薦する本のリストです。子ども読書推進活動などにお役立てください。
<絵本>
- 『ぴっけやまのおならくらべ』 かさいまり 作 チャイルド本社 2007年6月
- ぴっけやまにすむ動物たちは、毎日「くらべっこ」をして遊んでいます。今日はおならくらべに決定!数の多さ(ねずみ)、音の大きさ(くま)、音の出し方(つる)、においのくささ(いたち)と、動物たちの個性を生かして練習をします。さて、本番!全員一致で一番になったのは・・・?!
動物たちがおならくらべをするシーンのさし絵は最高です!保育園でも小学校でも大好評で、アンコールも出たほどです。練習するシーンの「がまんがまん」を強調していくことで盛り上がります。読み聞かせに最適。(J.S)
- 『としょかんライオン』 ミシェル・ヌードセン 作 ケビン・ホークス 絵 福本友美子 訳 岩崎書店 2007年4月
- 自分のお気に入りの絵本に出会うと、必ず2〜3回続けて読み直してみる。そして、何歳ぐらいの子どもたちへの読み聞かせとしてO.Kであるかを考えていく。この本は、題名を見た瞬間に大好きになり、読み込んでいき、小学校1年生から中学生まで大丈夫、と確信しました。低学年はライオンを中心として、高学年は館長に注目させて、中学生には図書館員のマクビーさんの心情を推察させていくのもおもしろいかな〜。お気に入りの1冊になると、いろいろ遊びたくなります。ぜひお試しください。(J.S)
<小学生向き読み物>
- 『名探偵アガサ&オービル 全4巻』 第1巻:火をはく怪物の謎 第2巻:おばあちゃん誘拐事件 第3巻:伝説の殺人鬼 第4巻:ふたつの顔を持つ男(準備中) ローラ・J・バーンズ、メリンダ・メッツ 作 金原瑞人、小林みき 訳 文溪堂 2007年7月〜9月
- ミステリーはちょっと怖くて苦手という人にもおすすめのシリーズ。明るく行動派の少女アガサ・ウォン。アスペルガー症候群で人づきあいが苦手だが抜群の観察力を持つ少年オービル・ライト。この2人の中学生コンビが数々の事件を解決していく物語。殺人事件はなくても大どんでん返しに最後まで気が抜けません。エドガー賞オナー賞ももらったしっかりとした作品。名コンビの2人のからみにどうぞ御期待ください。アガサは、アガサ・クリスティーから(?)。では、飛行機好きのオービルは?・・・。(U.K)
- 『ぼくのヘラオ変身日記』 緒島英二 作 ポプラ社 2007年7月
- 主人公は平尾平蔵、小学4年生。あだ名はヘラオ。カンチョーされても、そうじ当番を押し付けられても、ヘラヘラしているから。いじめっ子があっという間にいじめられっこに変る不安定なパワーバランス。クラスの中で目立ちすぎないように浮き過ぎないように神経を使っている子どもたちの心理がよく描かれていると思う。(M・S)
- 『アルファベットガールズ』 ジャクリーン・ウィルソン 作 尾高薫 訳 理論社 2007年6月
- ティーンズの読者にはお馴染みの、英国人作家ジャクリーン・ウィルソンの新作がフォア文庫で登場した。小学校中学年くらいから読める作品である。A・B・C・D・Eを名前の頭文字に持つ小学生の少女たち(アルファベットガールズ)を中心に、それぞれの性格や心の動き、微妙な5人の関係がしっかり描かれており、現実的には深刻な内容も日本とは違う背景の中で明るく楽しめる。特に、障害のある姉サリーをもつ主人公デイジーの真っ直ぐでひたむきな心の動き、彼女を支える家族の関わりは、とてもすがすがしく心を打たれるはず。(J・S)
- 『ジジ きみと歩いた』 宮下恵茉 作 学習研究社 2007年6月
- 主人公の翼は自分に自信の持てない4年生の男の子。のらいぬの「ジジ」を飼う破目になってしまうが、友だちの来生君の手助け、おじいちゃんの援助で「ジジ」と心を通わせることができた。勉強もスポーツもよくでき、性格もよい来生君だが、実は父親からの虐待を受ける辛い日々を送っていた。偶然にもその来生君を父親から救い出し、その辛さを知った翼。また、1年という短い時間であるがジジから贈られた楽しい時間。ジジに教えられた命の尊さ。翼は人の痛み、暖かみの分かる少年に成長していく。(C・Y)
<ティーンズ(中・高生)向き読み物>
- 『歩く』 ルイス・サッカー 作 講談社 2007年5月
- 数々の賞を受賞し、子どもたちから絶大なる支持を受けた人気作品『穴』の続編。『穴』のわれらが愛するスタンリーと同じ、グリーンレイクキャンプ(厚生施設)の仲間だった「アームピット」(脇の下:あだ名)が主人公。グリーンレイクキャンプを出たアームピットには前科があり、しかもアフリカ系アメリカ人(黒人)という過酷な状況の中で、穴を掘るバイトを続けながら高校に通っている。そこへキャンプで一緒だった軽薄だが憎めない友人Xレイが、怪しいもうけ話を持って登場。隣家の脳性マヒを患う白人少女ジニーとの交流は心温まるし、彼を助けるいわゆる「いい大人達」も登場する。深刻な中にもユーモアとやさしさを持つ、ルイス・サッカーの筆の冴えが小気味よい。(J・S)
以上です。