マイ・ベスト・ブック 〜この本、おすすめ!〜
No.6(2008年7月)
山口県立山口図書館 新刊児童書研究会編集
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定)
TEL:083-924-2111 FAX:083-932-2817
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定)
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この「マイ・ベスト・ブック」は、新刊児童書研究会のメンバーが推薦する本のリストです。子ども読書推進活動などにお役立てください。
<絵本>
- 『ケーキやさんのゆうれい』 ジャクリーン・K・オグバン 作 マージョリー・ブライスマン 絵 福本友美子 訳 フレーベル館 2007年12月
- 国いちばんのケーキ職人だったコーラ・リー・メリウェザーは、死んでしまってからも新しいケーキ職人の仕事に口を出さずに入られません。幽霊となって台所に現れるため、職人たちは次々にやめていきます。そこにやってきたのはアニー・ワシントン。その夜から二人の対決がはじまります。さて、勝負はいかに……。絵本としてはやや長めのストーリーがついているので、「絵本」から「読み物」へ踏み出そうとしている子どもたちに手渡したい作品です。(N.Y)
- 『バルバルさん』 乾栄利子 作 西村敏雄 絵 福音館書店 2008年3月
- 他の人から紹介された絵本です。西村敏雄さんの絵がとても温かみがあり、バルバルさんという題名にもなっている名前に惹かれて読んでみると……ステキ! 毒がなく、過激でもなく、心がユルユルやわらか〜くなっていくのがわかります。青い屋根の床屋さんは、内装もブルーで統一してあるため、2ページから3ページまで穏やかな水色をベースに配色されていて、心に優しく映っていきます。1ページと32ページにこのドラマの答えがあり、表と裏の一連の表紙にちゃんと導線が描かれていているところは、本当に心にくい演出です。「読みきかせ」改め「読みあそび」におすすめです。(I.M)
<ノンフィクション>
- 『今日からは、あなたの盲導犬』 日野多香子 文 増田勝正 写真 岩崎書店 2007年10月
- 盲導犬の訓練施設アイメイト協会の1000頭目の盲導犬セロシアの訓練が内容の中心。特に使用者になる大石さんとの4週間もの歩行訓練の様子を詳しく紹介している。盲導犬歩行指導員の原さんが語っている形式で文章がやわらかく、読みやすい。(M.S)
- 『ぞうのはな』 内山晟 写真 堀浩監修 チャイルド本社 2008年1月
- ゾウの鼻には、人間と同じように鼻の穴が二つあるって知っていましたか? ストローのように鼻で水を吸い上げて口に運ぶ水の量は、1回で10リットルもあるって知っていましたか? 忍者が水とんの術で使う竹筒のように、鼻で息をしながら水中を移動していくのを知っていましたか? 長くて重い鼻は、疲れた時にはキバに乗せて休憩するって知っていましたか? 敵味方をかぎ分けて、コミュニケーションをとる第一手段は、この鼻なんです。大胆不敵なゾウの長い鼻は、その鼻先でトマトをつぶさずつかめる繊細さを兼ね備えていました。驚きに満ちた大型写真絵本です。(I.M)
- 『ブタとさつまいも』 梅崎昌裕 作 小峰書店 2007年11月
- 大学で「文化人類学」を受講した。自分の知らない世界各地の人々の暮らしを知るのが楽しかった。『ブタとさつまいも』はパプアニューギニアで、今なお自然の中で自給自足の生活をしている人々の暮らしが読みやすく紹介されている。写真も多く、日本の現代社会の生活しか知らない子どもたちも関心を持ちやすいと思われる。ペット同様に大切に育てたブタを、最後には自分の命をつなぐ食料として食べる……というのは私にはできそうにないが、そういう現実を生きている人々がいるのだなあ。(C.Y)
<ティーンズ(中・高生)向き読み物>
- 『親指さがし』 山田悠介 作 幻冬社 2005年10月
- 「親指さがし」というゲームの最中に一人の女の子が行方不明になった。七年後、残された武たちは再び「親指さがし」を行い……。展開そのものは非常にオーソドックスだが、読みやすく、気軽にスリルを楽しめる。(M.S)
- 『オチケン!』 大倉崇裕 作 理論社 2007年9月
- 名前を気に入られ、落語研究会、通称「落研」に入部させられた越智健一。部員の少ない落研から部室を奪おうと画策する団体が仕掛ける陰謀を、落語をヒントに解決する中篇が2作。落研の先輩、岸と中村をはじめ、おもしろいキャラクターが多く、落語の魅力も伝わってくる。付録のエッセイ「落語ってミステリー!?」も良かった。(M.S)
- 『ルイジアナの青い空』 キンバリー・ウィリス・ホルト 作 河野万里子 訳 白水社 2007年9月
- 成績優秀で、野球も男の子たちよりもうまい12歳の少女タイガー・アン・パーカーの両親は、知的障害を持っている。思春期を迎えたタイガーは、両親を愛する気持ちと否定したい気持ちの間でいつも揺れ動いていた。そんなタイガーをしっかりと支えてくれていたおばあちゃんが、ある日突然亡くなる。心のバランスを失いかけたタイガーだが……。家族とは何か、生きるとはどういうことかという大きな問題の答えを、自分自身でしっかりと探していくタイガーの姿がまぶしく感じられます。(N.Y)
以上です。