マイ・ベスト・ブック 〜この本、おすすめ!〜
No.7(2008年7月)

山口県立山口図書館 新刊児童書研究会編集
山口県立山口図書館 子ども読書支援センター発行 (隔月発行予定)
TEL:083-924-2111 FAX:083-932-2817

この「マイ・ベスト・ブック」は、新刊児童書研究会のメンバーが推薦する本のリストです。子ども読書推進活動などにお役立てください。

<小学生向き読み物>

『宇宙への秘密の鍵』 ルーシー&スティーブン・ホーキング 作  さくまゆみこ 訳  岩崎書店  2008年2月
車椅子に乗った天才物理学者ホーキング博士が娘と一緒に書いた初の児童向け宇宙冒険物語。難しい内容を簡潔な文章と美しいカラー写真、イラスト、コラムにより、イメージしやすい。ストーリーは、主人公ジョージが隣の科学者エリック、その娘アニーとスーパーコンピュータ「コスモス」を使って宇宙冒険旅行に出かける、という設定であるが、一方でコスモスを狙うリーパー先生やいじめっ子たちとのやりとりもあり、飽きさせないで一気に読むことができる。小学校高学年から理解できるだろうが、大人が読んでもわくわくして楽しい。次回作が楽しみである。(E.Y)

<ノンフィクション>

『プリミティブアートってなぁに?』 マリー・セリエ 著  結城昌子 監訳  西村書店  2008年3月
原始の時代から、人類が創りだしてきた様々なアートが全ページカラー写真で紹介されている。いろいろな民族や部族の願いがこめられた豊かな表情・色彩の土偶や仮面に目が引きつけられる。分かりやすい解説をあわせて読んでいくと、古代の人々の息吹も感じられる。小学校中学年の児童数人にこの本を見せると、「わあ、見たい、見たい。」と言い、ページをめくるごとに瞳を輝かせ、楽しそうに見ていた。いろいろな質問や感想が飛び出していた。年齢を問わず楽しめる一冊だと思う。(C.Y)

<ティーンズ(中・高生)向き読み物>

『リバウンド』  E・ウォルターズ 作  小梨直 訳  福音館書店  2007年11月
引っ越し先の学校になじめず、大好きなバスケットボールに打ち込めないショーン。優秀なプレイヤーだったのに、交通事故で選手生命を絶たれた上、車椅子で生活しなくてはならなくなったデーヴィッド。二人はカナダのとある町で出合い、心の中の悶々とした思いを時には激しくぶつけあいながら、少しずつ、自分のおかれている状況をまっすぐに受け止めていく勇気を得ていきます。「大事なのは、失敗したシュートを次にどうやってきめるかだ」−このメッセージが読者の心に、素直に届いてきます。(N.Y)
『メディエータ0』  episode1:天使は血を流さない  episode2:吸血鬼の息子  episode3:復讐のハイウェイ  メグ・キャボット 作  代田亜香子 訳  理論社  2007月8月〜2008年1月
霊能者スーズが主人公のメディエータ0(ゼロ)のシリーズ3冊。前に出ているシリーズ『メディエータ1』がこの続きになっている。かっこいい幽霊のジェシーに恋をしてしまうという設定で、メグ・キャボットのほかの作品同様、女の子ははまると思う。(E.Y)
『チェラブ』  Mission1:英国情報局秘密組織:スカウト  Mission2:英国情報局秘密組織:クラスA  ロバート・マカモア 作  大沢晶 訳  ほるぷ出版  2008年2月
両親を失った11歳の少年ジェームスが活躍するスパイもの。スパイとして活動する場面も、ワクワクドキドキして楽しめ、一気に読ませてしまう。しかし、主人公への周囲の支援の姿勢、本人の心の葛藤や行動に現在の社会の抱える問題点(日本を含めて)が書かれており、考えさせられる。そして何より、様々な出来事を通して主人公が成長していくのが分かり、うれしくなる。深読みをしなくても、単なるスパイ物として十分楽しいおすすめの本である。(E.Y)
『スパイ・ガール 全4巻』  Mission1:Jを監視せよ  Mission2:なぞのAを探せ  Mission3:見えない敵を追え  Mission4:破壊者を止めろ  クリスティーヌ・ハリス 作  前沢明枝 訳  岩崎書店  2007年7月〜2008年2月
天才少女ジェシー・シャープが主人公のスパイ物。スパイは子どもなら、大人にできないことができる、という発想は『チェラブ』と同じ。秘密組織の目的が何かよく分からないが、速いテンポで物語が展開し、ゲーム感覚であっという間に読みことができる。小学校中学年くらいの子どもたちが長文を読む入門書には良いかも。(E.Y)
『氷石』 久保田香里 作  くもん出版  2008年1月
母を失い、父も遣唐使として海を渡ったまま帰らず、平城京でひとり暮らす少年千広は、だれも信じられず心を閉ざしていた。折りしも平城京では疫病がはやり、貴賎を問わず多くの人々が病に苦しんでいた。そんな千広が下働きの娘宿奈やみなしごの安都、施薬院の伊真らと出会い、心を開き、自らの生に希望を見出す物語。この物語には「木札(木簡)」から分かった事を織り込み、当時の人々の暮らしぶりを描いている。題名の『氷石』は、千広が疫病のお守りと偽って売っていた川原の石の一つである。天平の時代に生きた人々の息吹を感じて読みすすめたい物語である。(C.Y)
『スパイ・ガール』  episode1  episode2:男子禁制!  アーリー・カーター 作  橋本恵 訳  理論社  2008年2月
上品な女子高校が、実はすごいスパイ養成校。恋あり、友情ありで、ちょっとめちゃくちゃなところが大いに楽しめます。メグ・キャボットとかジャクリーン・ウィルソンといった作家が好きな人にはおすすめです。(E.Y)

以上です。

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