慶応元年1月2日(1865年1月28日)、高杉晋作らは、下関の会所を襲撃し、自らの正当性を主張する檄文を掲げました。この時の高札や、その後の元治の内乱の際に配られた檄文が、今も残されています。
令和6年12月2日から令和7年3月31日まで、当館は臨時閉館していますので、今回の展示では、インターネット上で利用できるものを中心に、「討奸檄」や、元治の内乱に関する資料などをご紹介します。
展示資料
- 『高杉晋作小伝』
- 香川政一 著,東行会,1936.6,国立国会図書館デジタルコレクション
高杉晋作の伝記の口絵に、「討奸檄」の高札が掲載されています。高杉らは、元治元年12月15日(1965年1月12日)、藩の保守派に対抗して功山寺で決起し、下関の藩会所を襲撃します。慶応元年1月2日(1865年1月28日)に会所を再び襲撃したのち、高杉は自らの主張を高札に掲げました。高札に書かれた檄文は、保守派が藩主の意に反して害をなしているから、正義を回復するために行動する、と述べています。藩政府に反旗を翻した高杉らにとって、その正当性を藩内に知らしめる必要がありました。
伊藤博文が清書したというこの高札は、後に京都の尊攘堂に収蔵され、現在は京都大学附属図書館が所蔵しており、高札の画像をデジタルアーカイブでみることができます。
- 『懐旧記事 第2,3巻』
- 山県有朋(含雪) 述 ほか,丸善,1903.6,国立国会図書館デジタルコレクション
山県有朋の安政4年(1857年)から慶応3年(1867年)までの回想録です。高杉が下関の会所を襲撃したのち、反乱軍と、保守派藩政府軍とが争う元治の内戦(内訌(ないこう)戦)が本格化していきますが、反乱軍の勝利に終わった絵堂の戦いの際にも、「討奸(姦)檄」が配布されたとあります。
印刷・配布された「討奸檄」などの檄文も、京都大学附属図書館が所蔵しており、デジタルアーカイブでみることができます。
参考文献:『山口県史 通史編 幕末維新』(山口県 編集,山口県,2019.12)p543-556
関係資料紹介
- 『高杉晋作 情熱と挑戦の生涯』
- (一坂太郎 [著],KADOKAWA,2014.7,当館請求記号:Y289/Ta54/P 4)
- 『ミネルヴァ日本評伝選 高杉晋作』
- (海原徹 著,ミネルヴァ書房,2007.2,当館請求記号:Y289/Ta54/N 7)
- 『人物叢書 高杉晋作』
- (梅渓昇 著,吉川弘文館,2002.07,当館請求記号:Y289/Ta54/N 2)
- 『月刊高杉晋作 総集編』
- (ザメディアジョン,2009.12,当館請求記号:Y289/Ta54/N 9)
- 『晋作決起 元治の大局』
- (下関市立長府博物館 編,下関市立長府博物館,2014.11,当館請求記号:Y289/Ta54/P 4)
- 『大田・絵堂戦役』
- (池田 善文 編著,大田・絵堂戦役150周年記念事業実行委員会,2017.3,当館請求記号:Y215.8/P 7)