貴重資料のご紹介

当館の特色あるコレクションの一部をご紹介します。なお、貴重資料は、館内閲覧のみ可能です。貸出・複写はできません。

聚分韻略と仮御手鑑は、デジタルアーカイブ「WEB版明治維新資料室」で利用できます。

たま、今井似閑本は、国文学研究資料館でマイクロフィルムが、東京大学史料編纂所のデータベース、"Hi-CAT Plus"でデジタル画像が利用できます。

聚分韻略 大内版

聚分韻略の序の部分の画像です。『聚分韻略(しゅうぶんいんりゃく)』は、鎌倉時代末期の禅僧・虎関師錬(こかんしれん、1278-1346)が作詩用の辞書として漢字を韻によって分け、さらに同韻の字を乾坤・事項・気候等の12門に分け、各語の下に簡単な注を加えたものです。検索に便利なため、大いに禅林の間に流布して版を重ねました。

当館所蔵のものは、明応2年(1493年)「周陽真楽軒」において刷られたもので、全5冊からなります。装幀が補修され旧観を失っていますが、本書は大内版として伝本が稀で貴重な資料といわれています。

大内版とは、室町・戦国時代に大内領内で行われた開版事業の総称です。大内氏は、代々文化政策に厚く、公家・禅僧・学者文化人の来訪も多く、明や朝鮮との貿易による豊かな経済力を背景に出版文化を開花させました。

平成20年度山口県指定文化財となりました。

今井似閑本 防長に伝わる契沖資料

契沖の代表作『萬葉代匠記』の画像です。今井似閑本(いまいじかんぼん)は、江戸期の国学者・今井似閑の蔵書を、長州藩が藩校明倫館の蔵書にするため、似閑の家から借り受けて伝写したもので、得難い資料です。

当館所蔵の似閑本の内容は、主として国史・国文学・漢文学に関係したもので、似閑の師契沖の編著書を多く含み、契沖や万葉集研究の第一級資料といわれています。契沖の著述である『萬葉代匠記』他、209部426冊からなっています。

今井似閑(1657-1723)は、長州藩に出入りしていた京都の商人で、隠居後、近世国文学の先覚者・契沖(1640-1701)に師事し、その著作や蔵書などを書写しました。通称は善四郎、似閑はその号です。

仮御手鑑

仮御手鑑の大内義隆の短冊が貼ってある部分の画像です。仮御手鑑(かりおてかがみ)は、長府毛利家のもとで作成された手鑑です。

手鑑とは、歴史上の人物などの筆跡を集めて作ったスクラップブックのことで、「仮御手鑑」には短冊163点、色紙4点、切7点、やまと絵を伴う色紙12点の計186点が納められています。そのなかには、室町時代に大内義隆が開催した和歌会の短冊なども含まれます。

また、「仮御手鑑」に所収された古筆類の目録である「仮御手鑑入記御根帳」(かりおてかがみいれきのおねちょう)も付随しています。

令和3年度山口県指定文化財となりました。

なお、「仮御手鑑」に加え、「仮御手鑑入記御根帳」も、指定文化財の履歴や価値等を補完するものとして付(つけたり)指定されました。