例年開催している「子どもと本をつなぐスキルアップ講座」及び「幼稚園・保育園のための子ども読書研修会」が新型コロナウィルスの感染拡大とともに、開催を中止せざるを得なかったため、今年度は、その代替となる当セミナーを、子どもや保護者へ読書の楽しさを伝えるために子どもの読書に関わる活動をしている職員やボランティアを対象に開催しました。今回はその第2回として子どもの読書への理解を深める講座を実施しました。
- 日時
- 令和3年3月13日(土曜日) 14時から16時まで
- 演題
- 「子どもの本を書くということ」
- 講師
- 岩瀬 成子 氏(児童文学作家)
- 会場
- 山口県立山口図書館 レクチャールーム(及びオンライン同時配信)
- 参加者
- 38名(うちオンライン15名)
- 内容
- 子どもの頃の体験や児童文学作家の今江祥智さんとの出会いのお話、そしてジュール・ルナールの『にんじん』、フィリパ・ピアスの『真夜中のパーティ』、綿矢りさの『蹴りたい背中』などさまざまな文学作品の中で切実な気持ちを抱えた子どもたちがどのように描かれているかなどをご紹介いただきました。講話の中で、現実に言葉にできないさまざまな思いを抱いている子どもたちが、そうした文学に行き会う場としての書店や図書館の意義を説かれる一方、「本に垣根はない、読みたいものを読めるのが幸せ」ともおっしゃられ、子どもたちが本に自由に出会い読書という体験をすることやそのきっかけをうっかり摘んでしまわないように、との御示唆はとても印象的でした。
また、子どもを主人公にした作品を書かれることについて、「子どもの頃から20歳までの間の、自分にとって切実な問題を書かずにはいられなかった」「根にあるものは、子ども時代の怒りです」とも述べられて、創作の根源に導かれるような密度の濃いお話を伺うことができました。
参加者からは、「子どもたちに本を勧める際の参考になった」「お話に共感した」「岩瀬先生の本やご紹介いただいた本を読んでみたいと思った」など、多くの感想が寄せられました。
初めて実施したオンライン配信についても、配信参加者から改善を要する指摘もいただきましたが、「開催場所に関わらず参加しやすいのがよい」と、おおむね好評でした。