今から120年前の明治36年(1903年)、山口県ゆかりの4人の文学者たちが生まれました。
長門市生まれの金子みすゞは、童謡詩人として独特な世界を築きながらも若くして亡くなり、戦後あらためて「発見」された作品が、広く知られるようなりました。
「下関で生まれた」と作品で述べている(実際には、北九州市門司区生まれとされます。)小説家、林芙美子は、各地を転々とする貧しい生活に耐えたのち、流行作家として多くの作品を残しました。
山口市で生まれた田島準子と、下関市で生まれた中本たか子は、ともに小説家を志して東京へ向かい、一方は職業作家・児童文学者として、一方は反権力の左派作家として、近年まで活動を続けました。
今回の展示では、同じ年に生まれて、時代に翻弄されながら、それぞれ違う人生を歩み、様々な作品を生み出した4人の文学者たちと、彼女らが生まれた明治36年という年を、作品と資料を通じて御紹介します。
期間:令和5年4月29日(土曜日)~8月30日(水曜日)
場所:山口県立山口図書館 2階 ふるさと山口文学ギャラリー
主催:山口県立山口図書館、やまぐち文学回廊構想推進協議会
※本展示は、「やまぐち文化プログラム協賛事業」です。
展示資料目録
金子みすゞと戦争の影
- 『金子みすゞ』
- 矢崎節夫 監修,平凡社,2003
- 『幻の童謡詩人「金子みすゞの世界」展図録』
- 朝日新聞社文化企画局文化企画部 編,朝日新聞社,1999
- 『金子みすゞ詩集』
- 金子みすゞ 著,角川春樹事務所,2022
- 『全日本詩集』
- 東亜学芸協会 編,文書堂,1929
- 『童謡詩人金子みすゞの生涯』
- 矢崎節夫 著,JULA出版局,1993
- 『日本童謡集』
- 与田凖一 編,岩波書店,1962
- 『金子みすゞ全集 1』
- 金子みすゞ 著,JULA出版局,1984
- 『金子みすゞ全集 2』
- 金子みすゞ 著,JULA出版局,1984
- 『金子みすゞ全集 3』
- 金子みすゞ 著,JULA出版局,1984
林芙美子と流行作家
- 『下関市史 別巻(写真集)』
- 下関市市史編修委員会 編修,下関市,1995
- 『放浪記 前篇』
- 林芙美子 著,改造社,1946
- 『放浪記 續』
- 林芙美子 著,改造社,1930
- 『放浪記アルバム』
- 芳賀書店,1996
- 『蒼馬を見たり』
- 林芙美子 著,日本図書センター,2002
- 『三等旅行記』
- 林芙美子 著,改造社,1933
- 『清貧の書』
- 林芙美子 著,改造社,1933
- 『めし』
- 林芙美子 著,朝日新聞社,1951
田島準子と文筆業
- 「文章倶楽部 第10巻第12号(大正14年12月号)」
- 新潮社,1925
- 「文藝春秋 第4年第5号(大正15年5月号)」
- 菊池寛 編輯,文藝春秋社,1926
- 『青雲』
- 田島準子 著,六芸社,1940
- 「文芸風土 2巻11号~4巻2号」
- 西日本出版株式会社,西日本出版株式会社,1945
- 『緑園の少女』
- ポーター 原作,偕成社,1955
- 『風雪の道』
- 田島準子 著,芳流文庫,1980
中本たか子と社会運動
- 『わが生は苦悩に灼かれて』
- 中本たか子 著,白石書店,1973
- 『闘ひ』
- 中本たか子 著,改造社,1930
- 『白衣作業』
- 中本たか子 著,六芸社,1938
- 『南部鉄瓶工』
- 中本たか子 著,新潮社,1938
- 「新潮 第35年第2号(昭和13年2月号)」
- 新潮社,1938
- 『広島へ…そしてヒロシマへ』
- 中本たか子 著,白石書店,1986
- 『滑走路』
- 中本たか子 著,宝文館,1958
明治36年はこんな年
- 『児玉文庫一覧』
- 児玉文庫,1908
- 「防長新聞」明治36年(1903年)6月1日付け4面(複製)
- 「防長新聞」明治36年(1903年)11月20日付け2面(複製)
- 『公爵桂太郎伝 乾卷』
- 徳富猪一郎 編述,故桂公爵記念事業会,1917
- 『尋常小学読本 巻十一』
- 文部省,1910
- 『地上の理想國瑞西』
- 安部磯雄 著,平民社,1904
関連展示:明治36年のベストセラー
- 『家庭小説乳姉妹 前編』
- 菊池幽芳,春陽堂,1904
- 『家庭小説乳姉妹 後編』
- 菊池幽芳,春陽堂,1904
- 『天人論』
- 黒岩周六,朝報社,1903
- 『食道楽』
- 村井弦斎,報知社出版部,1903
- 『五重塔,血紅星』
- 幸田露伴,青木高山堂,1895
- 『小説黒潮 第1篇』
- 徳富蘆花,黒潮社,1903