岩川隆(いわかわ・たかし)は、昭和8(1933)年、玖珂郡麻里布町(現・岩国市)に生まれました。大学卒業後、週刊誌のトップ記事をスクープするトップ屋が多く集まるジャーナリスト集団に所属し、雑誌記者として華々しく活躍しました。作家活動を開始してからは、徹底した取材活動のもと、数多くの小説・評伝・ノンフィクションを残し、その取材の姿から「岩川の歩いた後には草一本生えていない」と言われました。
北森鴻(きたもり・こう)は、昭和36(1961)年、下関市小月町に生まれました。平成7(1995)年に『狂乱廿四孝』(きょうらんにじゅうしこう)で作家デビューして以来、作品ごとにさまざまなテーマに挑戦し続けました。平成22(2010)年に48歳という若さで逝去しましたが、凝った作風と個性的な登場人物は、今なお多くのファンを魅了してやみません。
岩川隆と北森鴻は、平成25(2013)年2月、やまぐち文学回廊構想推進協議会において「やまぐちの文学者」に選定されました。今回の展示では、生涯を通じて書き続け、多くの作品を残した2人の業績をたどります。
展示目録内の氏名をクリックすると、やまぐち文学回廊構想推進協議会のページでプロフィールを見ることができます。
期間:平成25年6月1日(土)~8月29日(木)
場所:山口県立山口図書館 2階 ふるさと山口文学ギャラリー
展示冊数:約40冊
主催:山口県立山口図書館、やまぐち文学回廊構想推進協議会
月曜、月末は閉館します。詳細は「図書館カレンダー」を参照してください。
関連行事
- ★「やまぐちの文学者たち」文学講座(終了しました)
- やまぐち文学回廊構想推進協議会が平成25年2月に刊行した『やまぐちの文学者たち』[増補版]で紹介している文学者のうち、新しく選定した文学者の中から、岩川隆及び北森鴻について、それぞれの解説の執筆者が、2人の人となりや作品の魅力について講演します。
- 〔日時〕:平成25年7月20日(土曜日)13時30分~15時30分
- 〔場所〕:山口県立山口図書館 第1研修室
- 〔講師〕:森川信夫(もりかわ・のぶお)、浅野里沙子(あさの・りさこ)
- 文学講座の報告はこちらをご参照ください。(別ウィンドウ)
貴重資料展示
- ★岩川隆自筆原稿
- 産業スパイ小説でベストセラー作家となった梶山季之(かじやま・としゆき)の著書『影の凶器』の文庫本の解説文原稿。
- 〔展示日〕:6月1日(土)~9日(日)、7月20日(土)~28日(日)
《岩川隆》
岩川隆(いわかわ たかし 1933-2001)
玖珂郡麻里布町(現・岩国市)生まれ。広島大学を卒業後に上京し、梶山季之(かじやま・としゆき)が率いるトップ屋集団「梶山師団」に所属してジャーナリストとしての基本を徹底的に学びました。雑誌記者を経て本格的に作家活動を始め、平成7(1995)年には『広く天下の優駿を求む』で第8回【平成6年度】馬事文化賞、同年に『孤島の土となるとも―BC級戦犯裁判』で第17回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。
《著作》
書名 | 著者名 | 出版者 | 出版年 | 請求記号 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
怨み買います | 岩川隆∥著 | [青樹社] | [1974] | /I 93 | 初めて単行本として出版された作品。 |
ドンブリストの冒険 | 岩川隆∥著 | 文芸春秋 | 1974 | /I 93 | |
謀略三億円事件 | 岩川 隆∥著 | エルム | 1975 | /I 93 | |
神を信ぜず | 岩川/隆‖著 | 立風書房 | 1976.4 | Y329/L 0 | 第75回直木賞候補作 |
巨魁 | 岩川 隆∥著 | ダイヤモンド社 | 1977. | 289.1/KI56 | |
長島茂雄 | 岩川 隆∥著 | スポニチ出版 | 1979.4 | 783.7/K 9 | |
多くを語らず | 岩川 隆∥著 | 中央公論社 | 1979.8 | /I 93 | 「運」「夏断」「安来節」が第82回直木賞候補作 |
〇割〇分〇厘ひとり旅 | 岩川 隆∥著 | 潮出版社 | 1980.4 | 783.7/L 0 | |
我れ自爆す、天候晴れ | 岩川 隆∥著 | 中央文芸社 | 1982.02 | 915.9/L 2 | |
ドキュメント 家庭崩壊 | 岩川 隆∥著 | コンパニオン出版 | 1982.5 | 379.9/L 2 | |
殺人研究会 | 岩川 隆∥著 | 立風書房 | 1982.8 | /I 93 | |
海峡 | 岩川 隆∥著 | 文芸春秋 | 1982.9 | /I 93 | 第88回直木賞候補作 |
日本の地下人脈 | 岩川隆∥著 | 光文社 | 1983.11 | 281.04/L 3 | |
人間の旗 | 岩川 隆∥著 | 光文社 | 1983.5 | 915.9/L 3 | |
忍魁・佐藤栄作研究 | 岩川 隆∥著 | 徳間書店 | 1984.2 | Y289/SA85 | |
決定的瞬間 | 岩川 隆∥著 | 中央公論社 | 1984.3 | /I 93 | |
天涯茫々 | 岩川 隆∥著 | 潮出版社 | 1985.12 | /I 93 | |
殺人全書 | 岩川 隆∥著 | 光文社 | 1985.3 | 369.12/L 5 | |
上着をぬいだ天皇 | 岩川 隆∥著 | 角川書店 | 1986.08 | 288.41/L 6 | |
ノンフィクションの技術と思想 | 岩川 隆∥著 | PHP研究所 | 1987.1 | 901/L 7 | |
現代情死図鑑 | 岩川/隆‖著 | 図書出版社 | 1987.12 | 369.16/L 7 | |
どうしやうもない私 | 岩川/隆∥著 | 講談社 | 1989.5 | 911.36/L 9 | |
ロングショットをもう一丁 | 岩川/隆‖著 | マガジンハウス | 1990.5 | 788.5/M 0 | |
キミは長島を見たか | 岩川/隆‖著 | 立風書房 | 1991.10 | 783.7/M 1 | |
広く天下の優駿を求む | 岩川/隆‖著 | プレジデント社 | 1994.10 | Y788/M 4 | |
孤島の土となるとも | 岩川/隆‖著 | 講談社 | 1995.6 | 329.67/M 5 | 第17回講談社ノンフィクション賞 |
ぼくが新聞を信用できないわけ | 岩川/隆‖著 | 潮出版社 | 1996.5 | 070.4/M 6 | |
みその言い分 | マガジンハウス‖編 | マガジンハウス | 1995.6 | 588.6/M 5 | 「“味祖”たずねある記」(岩川隆著) |
別れ方の研究 | 岩川/隆∥ほか著 | フォー・ユー | 1997.07 | Y915/M 7 |
《自筆原稿》
『解説』 |
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産業スパイ小説でベストセラー作家となった梶山季之(かじやま・としゆき)の著書『影の凶器』の文庫本の解説文原稿。 |
《多様な題材》
受賞作や候補作に見る通り、岩川は、長年にわたってBC級戦犯を取材しましたが、ほかにも様々な題材を取り上げています。
時事や芸能情報から人物伝、紀行文などに至るまで幅広く手がけた題材から、貪欲に書き続けた姿を伺うことができます。
事件 |
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マスコミにあまり取り上げられていない事件を中心に、十数年にわたって徹底した取材をして書かれた作品。
『殺人研究会』(1977) 『殺人全書』(1985) 『現代情死図鑑』(1987) ほか |
野球 |
長島茂雄ファンであった岩川には、巨人軍や野球をテーマにした著書が多数ある。
『殺人研究会』(1977) 『殺人全書』(1985) 『現代情死図鑑』(1987) 『長島茂雄 不思議な魅力とその実像』(1979) 『○割○分○厘ひとり旅』(1980)『キミは長島を見たか』(1991) ほか |
競馬 |
岩川は競馬歴が長く、雑誌「優駿」(日本中央競馬会発行)に競馬についての連載を執筆していた。
『ロングショットをもう一丁―日本競馬名人列伝』(1990)『広く天下の優駿を求む』(1994) ほか |
《岩川隆と山口》
岩川隆は18歳で山口を離れて以来、故郷に住むことはありませんでした。しかし、エッセイなどには、ふるさとを恋しく思いながらも、都会で作家として活躍している今を優先してしまうもどかしさが綴られています。
岩川が初めて出版した作品『怨み買います』の第1話では、主人公の故郷として岩国市が登場します。その後の作品でも、登場人物の出身地や、話し言葉に山口を見ることができます。
『巨魁・岸信介研究』 岩川 隆∥著 ダイヤモンド社 1977
『忍魁・佐藤栄作研究』 岩川 隆∥著 徳間書店 1984.2 |
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山口県出身の政治家岸信介(きし・のぶすけ)と佐藤栄作(さとう・えいさく)を題材にした伝記。
岸存命中に雑誌「現代」に連載された作品の執筆を終えたときから、岩川は、「佐藤栄作研究」についても書きたいと考えていたという。兄弟でありながら「驚くほど対照的な」二人の宰相と日本の政治を描く。 |
『どうしやうもない私―わが山頭火伝』 岩川/隆∥著 講談社 1989.5 |
防府市出身の俳人種田山頭火(たねだ・さんとうか)の伝記。
終戦当時、岩川は旧制防府中学校(現:防府高等学校)に通っていた。種田は、旧制防府中学校の前身である周陽学舎で学んでおり、岩川の先輩にあたる。 |
「年とればつくつくぼうし」 「潮」第397号 潮出版社 1992.4 |
特集「わが故郷讃」に掲載。山頭火の句とともにふるさとを語っている。 |
「岩国から徳山へ“わが海”を探して。」 「潮」第469号 潮出版社 1998.3 |
「連載・ぶらり路線バスの旅」の第12回山口編。幼い頃の回想を交えながら岩国、大島(現:周防大島町)、徳山(現:周南市)を紹介する。 |
《北森鴻》
北森鴻(きたもり こう 1961-2010)
下関市小月町生まれ。駒沢大学を卒業後、編集プロダクションで働きながら小説を執筆。平成7(1995)年に「狂乱廿四孝」にて第6回鮎川哲也賞を受賞し、小説家としての道を歩み始めました。平成11(1999)には「花の下にて春死なむ」で、第52回日本推理作家協会賞、短編及び連作短編賞を受賞しました。
《著作》
書名 | 著者名 | 出版者 | 出版年 | 請求記号 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
本格推理 1 | 鮎川/哲也‖編 | 光文社 | 1993.4 | Y/Ki67 | 「仮面の遺書」(北森鴻著) |
狂乱廿四孝 | 北森/鴻∥著 | 東京創元社 | 1995.09 | Y/KI67 | 第六回鮎川哲也賞 |
推理小説代表作選集 1996 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 1996.6 | /N 77 | 「花の下にて春死なむ」(北森鴻著) |
冥府神(アヌビス)の産声 | 北森/鴻∥著 | 光文社 | 1997.04 | Y/KI67 | |
狐罠 | 北森/鴻‖著 | 講談社 | 1997.5 | /KI67 | |
推理小説代表作選集 1997 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 1997.6 | /N 77 | 「ポートレート」(北森鴻著) |
メビウス・レター | 北森/鴻‖著 | 講談社 | 1998.1 | /KI67 | |
花の下にて春死なむ | 北森/鴻∥著 | 講談社 | 1998.11 | Y/KI67 | 第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編賞 |
ザ・ベストミステリーズ 1998 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 1998.6 | /N 77 | 「バッドテイストトレイン」(北森鴻著) |
メイン・ディッシュ | 北森/鴻‖著 | 集英社 | 1999.3 | /KI67 | |
ザ・ベストミステリーズ 1999 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 1999.6 | /N 77 | 「凶笑面」(北森鴻著) |
堕天使殺人事件 | 新世紀「謎」倶楽部‖著 | 角川書店 | 1999.9 | /SH 69 | |
凶笑面 | 北森/鴻∥著 | 新潮社 | 2000.05 | Y/KI67 | |
顔のない男 | 北森/鴻∥著 | 文芸春秋 | 2000.10 | Y/KI67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2000 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2000.6 | /N 77 | 「不帰屋」(北森鴻著) |
パンドラ'Sボックス | 北森/鴻‖著 | 光文社 | 2000.6 | /KI67 | |
親不孝通りディテクティブ | 北森/鴻‖著 | 実業之日本社 | 2001.2 | /KI67 | |
蜻蛉始末 | 北森/鴻∥著 | 文芸春秋 | 2001.06 | Y/KI67 | |
孔雀狂想曲 | 北森/鴻‖著 | 集英社 | 2001.10 | /KI67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2001 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2001.6 | /N 77 | 「邪宗仏」(北森鴻著) |
共犯マジック Fortune-book mystery | 北森/鴻‖著 | 徳間書店 | 2001.7 | /KI67 | |
闇色のソプラノ | 北森/鴻∥著 | 文芸春秋 | 2002.10 | Y/KI67 | |
金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 | 赤川/次郎‖[ほか]著 | 角川書店 | 2002.5 | /A 29 | 「ナマ猫邸事件」(北森鴻著) |
狐闇 | 北森/鴻‖著 | 講談社 | 2002.5 | /KI67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2002 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2002.7 | /N 77 | 「根付け供養」(北森鴻著) |
触身仏 | 北森/鴻‖著 | 新潮社 | 2002.8 | /KI67 | |
桜宵 | 北森/鴻∥著 | 講談社 | 2003.04 | Y/KI67 | |
緋友禅 | 北森/鴻‖著 | 文芸春秋 | 2003.1 | /KI67 | |
屋上物語 | 北森/鴻‖著 | 祥伝社 | 2003.6 | Y/Ki67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2003 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2003.7 | /N 77 | 「緋友禅」(北森鴻著) |
支那そば館の謎 | 北森/鴻∥著 | 光文社 | 2003.7 | Y/Ki 67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2004 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2004.7 | /N 77 | 「鬼無里」(北森鴻著) |
凶鳥(まがとり)の黒影(かげ) | 赤江/瀑∥[ほか]著 | 河出書房新社 | 2004.9 | Y/A 28 | 「急行銀河・1984」(北森鴻著) |
蛍坂 | 北森/鴻∥著 | 講談社 | 2004.9 | Y/Ki67 | |
瑠璃の契り | 北森/鴻∥著 | 文芸春秋 | 2005.1 | Y/Ki 67 | |
写楽・考 | 北森/鴻∥著 | 新潮社 | 2005.8 | Y/Ki 67 | |
暁の密使 | 北森/鴻∥著 | 小学館 | 2006.1 | Y/Ki67 | |
親不孝通りラプソディー | 北森/鴻∥著 | 実業之日本社 | 2006.10 | Y/Ki67 | |
深淵のガランス | 北森/鴻∥著 | 文芸春秋 | 2006.3 | Y/Ki 67 | |
ぶぶ漬け伝説の謎 | 北森/鴻∥著 | 光文社 | 2006.4 | Y/Ki 67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2006 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2006.7 | /N 77 | 「瑠璃の契」(北森鴻著) |
香菜里屋を知っていますか | 北森/鴻∥著 | 講談社 | 2007.11 | Y/Ki67 | |
ザ・ベストミステリーズ 2007 | 日本推理作家協会‖編 | 講談社 | 2007.7 | /N 77 | 「ラストマティーニ」(北森鴻著) |
虚栄の肖像 | 北森/鴻∥著 | 文芸春秋 | 2008.9 | Y/Ki67 | |
なぜ絵版師に頼まなかったのか | 北森/鴻∥著 | 光文社 | 2010.10 | Y/Ki67 | |
うさぎ幻化行 | 北森/鴻∥著 | 東京創元社 | 2010.2 | Y/Ki 67 | |
暁英 贋説・鹿鳴館 | 北森/鴻∥著 | 徳間書店 | 2010.4 | Y/Ki67 | |
邪馬台 | 北森/鴻∥著 | 新潮社 | 2011.10 | Y/Ki67 | |
ちあき電脳探偵社 | 北森/鴻‖著 | PHP研究所 | 2011.2 | Y/Ki67 |
《シリーズ紹介》
シリーズを概観すると、様々なテーマに挑戦し続けた北森の姿を見ることができます。どの登場人物も個性あふれるキャラクターで、その魅力に引き込まれるファンも多いようです。
旗師・冬狐堂 |
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骨董商の宇佐見陶子が主人公。「旗師」とは店舗を持たない業者のことを指す。宇佐見は香菜里屋シリーズにも登場する。
『狐罠』(1997) 『狐闇』(2002) 『緋友禅』(2003) 『瑠璃の契り』(2005) |
香菜里屋 |
三軒茶屋の路地裏にあるビアバー「香菜里屋」を舞台に繰り広げられる人情譚。
『花の下にて春死なむ』(1998) 『桜宵』(2003) 『螢坂』(2004) 『香菜里屋を知っていますか』(2007) |
蓮丈那智フィールドファイル |
美貌の民俗学者蓮丈那智が主役の民俗学シリーズ。
『凶笑面』(2000) 『触身仏』(2002) 『写楽・考』(2005) 『邪馬台』(2011) |
鴨志田鉄樹&根岸球太 |
博多の街を舞台に「テッキ」と「キュータ」の「かも・ねぎコンビ」が活躍するハードボイルド小説。
『親不孝通りディテクティブ』(2001) 『親不孝通りラプソディー』(2006) |
裏京都ミステリー |
京都の風物や民俗を謎とするユーモアあふれるミステリー。
『支那そば館の謎』(2003) 『ぶぶ漬け伝説の謎』(2006) |
絵画修復師・佐月恭壱 |
花師であり絵画修復師である佐月恭壱が主人公。『油絵を解剖する』(歌田/真介‖著,日本放送出版協会,2002.1)は、北森が修復師を取り上げるきっかけとなった本のうちの1冊。
『深淵のガランス』(2006) 『虚栄の肖像』(2008) |
雅蘭堂・越名集治 |
下北沢の趣味骨董の店、雅蘭堂が舞台。越名のまわりで、ジッポーや根付など骨董をめぐる事件が起きる。
『孔雀狂想曲』(2001) |
《北森鴻と山口》
北森鴻は18歳で山口を離れましたが、45歳から亡くなるまでのおよそ3年間、山口市湯田温泉に住んでいました。ペンネームの由来は諸説ありますが、山口市内で行われた講演会では、山口市内の地名「鴻ノ峰」に由来すると話していたそうです。
「北森鴻」としての処女作「仮面の遺書」には、下関市の彦島が登場します。山口県出身の著名人や伝説がモデルになっていたり、山口の風景が登場したり、ミステリー小説としてだけではない楽しさも味わうことができます。
「興ざめた馬を見よ」 |
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『ぶぶ漬け伝説の謎』(北森/鴻∥著 光文社 2006.4)所収。 龍蔵寺(山口市)の伝説「雪舟の絵馬のはなし」が登場する。夜な夜な絵から馬が飛び出して田畑を荒らすので、雪舟に頼んで手綱を描いてもらったところおさまったという。 |
『暁英 贋説・鹿鳴館』 北森/鴻∥著 徳間書店 2010.4 |
表紙は山口市出身の画家荒瀬景敏(あらせ・かげとし)による。この作品の雑誌連載の際も挿絵を担当していた。鹿鳴館の建設には、山口県出身の政治家井上馨(いのうえ・かおる)が関わっており、本書にたびたび登場する。 |
『花の下にて春死なむ』 北森/鴻∥著 講談社 1998.11 |
防府市出身の俳人種田山頭火(たねだ・さんとうか)をモデルにした人物が登場する。本書では、「片岡草魚」としている。 |
『蜻蛉始末』 北森/鴻∥著 文芸春秋 2001.06 |
萩市出身の実業家藤田伝三郎(ふじた・でんざぶろう)が主人公。井上馨(いのうえ・かおる)もたびたび登場する。 |
<参考文献>
『やまぐちの文学者たち』(増補版) やまぐち文学回廊構想推進協議会編集・発行 2013