平成14年5月 月間資料展示 この本、知ってる？おぼえてる？～子どもの本と読書の変遷をさぐる～

１９４５年（昭和２０年）の終戦後、あらゆる物資の乏しい状況の中、子どもの本の世界でも「センカ紙」と呼ばれる再生紙に印刷された雑誌や図書が活況を呈し、『ビルマの竪琴』（竹山道雄）や『ノンちゃん雲に乗る』（石井桃子）がベストセラーとなりました。

５０年代に入ると、「岩波少年文庫」（１９５０）、「岩波の子どもの本」（１９５３）、「こどものとも」（福音館書店　１９５６）などが創刊されるとともに、この頃から、世界や日本の名作を紹介する少年少女向けの全集がブームとなり、いくつかのシリーズが競い合うように出版されました。しかし、日本の児童文学は、全体的には、不振・停滞の時期でした。

創作児童文学の分野で、若い世代の作家たちを中心に新鮮な作品が生み出されるようになってきたのは１９６０年前後です。『ながいながいペンギンの話』（いぬいとみこ）、『だれも知らない小さな国』（佐藤さとる）、『龍の子太郎』（松谷みよ子）などが次々に出版され、高度経済成長とあいまって、６０年代は、日本児童文学の興隆期となりました。

また、翻訳児童文学や創作絵本のジャンルでも、個性豊かな作品が数多く紹介され、また、生み出されるようになり、６０年代から７０年代の子どもの本の中には、現在も、なお、読みつがれているものが多数あります。

今月は、「子どもの読書週間」にちなみ、かつて子どもだった大人の皆さんに、戦後から７０年代までの子どもの本の世界を、その世相とともに紹介します。

あなたの、懐かしい一冊が見つかれば幸いです。

• 場 所：山口県立山口図書館　２Ｆ展示コーナー
• 展示期間：平成１４年５月１日（水）～５月３０日 （木）
• 展示資料：約２００冊