戦後の日本美術史を代表する画家のひとりである香月泰男(かづき やすお)が昭和49年(1974年)3月8日に亡くなってから、50年が経とうとしています。
明治44年(1911年)10月25日に大津郡三隅村(おおつぐん みすみむら 現・長門市三隅(ながとし みすみ))に生まれた香月は、東京美術学校を卒業後、教員をしながら画業に励み、展覧会で何度も賞を得るようになりますが、召集を受けて満州へ出征します。終戦を迎えた矢先、ソビエト連邦軍によってシベリアに抑留され、塗炭の苦しみを味わことになります。
厳しい抑留生活の中でも、絵描きの目を失わず、絵具箱を手放すことがなかった香月は、幸運にも
日本に引揚げがかなった後、その壮絶な体験を独自の技法によって表現した「シベリヤ・シリーズ」と呼ばれる作品群を生み出しました。また、三隅を拠点に作品を作り続けた香月には、自身が「おもちゃ」と呼んだオブジェや、素描、版画など、多様な作品が残されています。
今回の展示では、香月の没後50年に寄せて、その作品世界の一端を、当館所蔵資料からご紹介します。
展示期間:令和6年2月1日(木曜日)から4月25日(木曜日)まで
展示場所:2階 資料展示コーナー
「香月泰男 没後50年に寄せて」展示資料
初期の作品
- 『香月泰男と1940-50年代の絵画』
- (下関市立美術館 編集,下関市立美術館,2009,請求記号:Y723/N 9)
- 『香月泰男』
- (下関市立美術館 編,下関市立美術館,[1987.5],請求記号:Y723/L 7)
出征と抑留
- 『別冊太陽 香月泰男』
- (木本信昭 監修,平凡社,2011.9,請求記号:Y723/P 1)
- 『香月泰男の絵手紙』
- (香月泰男 [画],二玄社,2003.10,請求記号:Y723/N 3)
「シベリヤ・シリーズ」
素描と版画
- 『香月泰男版画全集』
- (香月婦美子 監修,香月泰男美術館,2008.3,請求記号:Y730/N 8)
- 『《私の》素描集』
- (香月泰男 画,三隅町立香月美術館,2000.6,請求記号:Y723/N 0)
「おもちゃ」と絵付け
- 『香月泰男のおもちゃ筐』
- (福島慶子 編,求龍堂,1970.11,請求記号:Y759/K 0)
- 『香月泰男 〈私の〉シベリア、そして〈私の〉地球』
- (香月泰男 [画],朝日新聞社事業本部西部企画事業部,2004,請求記号:Y723/N 4)