山口お宝展「明治維新150年記念事業」協賛展示「改正増補英和対訳袖珍辞書(慶応3年)」のポスターです。

山口市内で開催中の「山口お宝展」の協賛展示を行っています。

今回は

『改正増補 英和対訳袖珍辞書』(慶応3年・1867年) を展示します。

展示期間:平成28年2月27日(土曜日)~3月30日(水曜日)

『改正増補 英和対訳袖珍辞書』(慶応3年・1867年)~開国の時代と英和辞書~

山口お宝展「明治維新150年記念事業」協賛展示「改正増補英和対訳袖珍辞書(慶応3年)」のポスターです。

鎖国が続いた江戸時代後期、長崎で起きたフェートン号事件(イギリスの軍艦がオランダ船を襲った事件)に衝撃を受け、幕府は国防のために長崎通詞に英語とロシア語の修学を命じます。その後、ペリー来航や日米和親条約締結を経て洋学所(後に蕃書調所、洋書調所、開成所と改称)が設置され、文久2年(1862)、洋書調所から堀達之助(ほり たつのすけ)を編集主任とする『英和対訳袖珍辞書』(えいわたいやくしゅうちんじしょ)(初版)が発行されました。これは、H.Picardの英蘭辞書を底本としてオランダ語部分を日本語に置き換えたもので、約33,000語を収録しています。「袖珍」は底本辞書のタイトルにある「Pocket Dictionary」のポケットを訳したものです。初版は英語部分が活版、日本語部分は木版の両面印刷した洋装本で、印刷刊行された日本最初の英和辞書です。約200部刊行されるもすぐ品切れとなり、開成所の堀越亀之助(ほりこし かめのすけ)が主任となって訳語の見直しや附録の挿入などの補訂を加え、慶応2年(1866)に『改正増補 英和対訳袖珍辞書』を印刷、これもたちまち売り切れ、さらに慶応3年、明治2年(1869)にも印刷されました。

今回の展示資料は慶応3年に印刷された再版第2刷で、木版片面刷り袋綴じになっています。

同時展示 ~同時代の出版物~

書名 著者名 出版者 出版年 請求記号
英語箋 上 石橋/政方‖[著] 自琢齋 萬延2(1861) W833/A
英和字彙:附音挿図 柴田 昌吉‖編 日就社 1873.01 R833/A

『英語箋』(えいごせん)は、上下巻で部門別に約1,700語を収録し、日本語に対する英語とその発音を片仮名で示しています。県立図書館では上巻のみの所蔵ですが、下巻の後半は英会話の用例集となっています。

『附音挿図 英和字彙』(ふおんそうず えいわじい)は、John Ogilvieの英語辞典を底本として用いた本格的な英和辞典で、約55,000語を収録。横浜の日就社から出版され、たちまち売り切れたといいます。タイトルにあるように、「附音」(発音表記)と「挿図」(イラスト)が特徴です。

関連資料

書名 著者名 出版者 出版年 請求記号
解読『英和対訳袖珍辞書』原稿 堀/孝彦‖編著 港の人 2010.6 833.3/P 0
英学と堀達之助 堀/孝彦‖著 雄松堂出版 2001.1 R289.1/H 87
堀達之助とその子孫 村田/豊治‖著 同時代社 2003.9 R289.1/H 87
開国と英和辞書 堀/孝彦‖著 港の人 2011.9 289.1/H 87
目で見る明治の辞書 惣郷/正明‖編 辞典協会 1989.1 R801.3/L 9
日本の辞書の歩み 辞典協会‖編 辞典協会 1996.4 R801.3/M 6
辞書遊歩 園田/尚弘‖編 九州大学出版会 2004.7 801.3/N 4
三語便覧 [村上/英俊‖編] 港の人 2009.3 R801.3/N 9
江戸異言語接触 岡田/袈裟男‖著 笠間書院 2006.3 801.7/N 6
日本人の「翻訳」 亀井/秀雄‖著 岩波書店 2014.3 801.7/P 4
英語学び事始め 惣郷 正明‖著 朝日イブニングニュース社 1983.10 830.1/L 3
日本英学のあけぼの 惣郷/正明‖著 創拓社 1990.2 830.1/M 0
日本洋学小誌 [勝俣/銓吉郎‖著] 皓星社 2001.7 830.1/N 1
日本英学史叙説 庭野/吉弘‖著 研究社 2008.5 R830.1/N 8
英語襲来と日本人 斎藤/兆史‖著 講談社 2001.11 830.7/N 1
和英語林集成 平文‖編譯 明治学院 2013.1 R833.2/P 3
和英語林集成の研究 木村/一‖著 明治書院 2015.2 833.2/P 5
英語辞書物語 上 小島/義郎‖著 ELEC 1989.10 833/L 9
英語辞書物語 下 小島/義郎‖著 ELEC 1989.10 833/L 9
英語辞書の変遷 小島/義郎‖著 研究社 1999.6 833/M 9
日本の英語辞書と編纂者 早川/勇‖編纂 春風社 2006.3 833/N 6
ウェブスター辞書と明治の知識人 早川/勇‖著 春風社 2007.11 833/N 7
幕末明治期フランス語辞書の研究 田中/貞夫‖著 国書刊行会 2012.7 853/P 2
蘭和・英和辞書発達史 永島 大典‖著 講談社 1970 R402.159/K 0
幕末日本「英学史」散歩 堀/孝彦‖著 港の人 2015.10 402.105/P 5
文久三年御蔵島英語単語帳 小林/亥一‖編著 小学館 1998.11 R210.58/M 8
<通訳>たちの幕末維新 木村/直樹‖著 吉川弘文館 2012.2 210.59/P 2
辞書生活五十年史 斎藤/精輔‖著 図書出版社 1991.11 Y289/SA25
ジョン万次郎 永国/淳哉‖編 新人物往来社 2010.8 289.1/N 33
幕末の外交官森山栄之助 江越/弘人‖著 弦書房 2008.6 289.1/Mo73
明治の傑人岸田吟香 豊田市郷土資料館‖編集 豊田市教育委員会 2013.1 289.1/Ki57
古賀謹一郎 小野寺/龍太‖著 ミネルヴァ書房 2006.5 121.54/N 6
ヘボンさんの幕末維新 志村/純‖著 キリスト新聞社 2006.1 289.3/H 52
宣教医ヘボン 横浜開港資料館‖編集 横浜市ふるさと歴史財団 2013.10 289.3/H 51
海の祭礼 吉村 昭‖著 文芸春秋 1986.10 /Y 91
黒船 吉村/昭‖著 中央公論社 1991.9 /Y 91

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