幕末の動乱期、長州藩は内外で戦いの連続でした。文久3年(1863)、攘夷実行のため外国船を砲撃、元治元年(1864)7月に禁門の変により朝敵となり、8月には英仏蘭米の四国連合艦隊による下関砲撃(馬関戦争)で西洋の近代兵器の威力を目の当たりにします。この敗戦で藩論は幕府への恭順に傾き、朝廷が長州征伐を命じた第一次幕長戦争では三家老の切腹などにより恭順の意を示し、戦闘に至らず終結しました。
この後、高杉晋作の決起による諸隊と藩政府軍との内戦(元治の内訌)を経て、藩論は「武備恭順」(幕府に対して恭順ではあるが、攻撃を受けたときは武力で戦う)へと一転され、軍事組織の整備、大村益次郎を最高責任者とした西洋軍制の導入、武器の購入などを行っていきます。
そして慶応2年(1866)6月、第二次幕長戦争(長州征伐、長州征討、長州戦争とも)が始まります。この戦いは長州藩を取り囲む四つの境(芸州口、大島口、石州口、小倉口)で行われたため、長州では「四境戦争」(四境戦役、四境の役)とよんでいます。この戦いに敗退した幕府は権威を失墜し、幕府権力解体へと政局は大きく動いていきます。
期間:平成28年7月1日(金曜日)~平成28年10月27日(木曜日)
展示資料
書名 | 著者名 | 出版者 | 出版年 | 請求記号 |
---|---|---|---|---|
長防臣民合議書 | 長門蔵版局 | 1866 | Y215.8/A | |
散兵教練書 | 長門練兵場 | [1866] | Y396/A | |
生兵教練書 第一科伝書第一等 | [1866] | Y396/A | ||
小隊教練書 第一科伝書第二等 | [1866] | Y396/A | ||
大隊教練書 第一科伝書第三等 | [1866] | Y396/A |
『長防臣民合議書』は、開戦前に広島で幕府との交渉にあたった宍戸備後助(山県半蔵、後の宍戸璣)が作成しました。その概要は、これまで藩主親子が朝廷や幕府に尽くしてきた事情を述べ、第一次幕長戦争では三家老の切腹などにより恭順の意を示したにも関わらず再度攻めてくるのは無法である、どうしても冤罪を雪ぐ見込みがないのなら一死奮戦あるのみ、というものです。冒頭に36万部刷ったと記されていますが、実際は数千部で、防長士民の覚悟を天下の人に知らせるために大部分は広島で他藩人に配ったといわれています。(『忠正公勤王事績』p575-577)
四境戦争において、長州軍は散兵戦術を駆使しました。これは兵士を密集させず散開させて行うもので、少数の兵で多数の兵に立ち向かう場合に有効です。この戦術は広く兵士が散開するため指揮官の命令が行き届かず、兵士各自が充分に散兵戦術を習熟している必要があります。『散兵教練書』は、そのための訓練に用いられました。(『長門練兵場蔵板 活板散兵教練書』)
関連資料
書名 | 著者名 | 出版者 | 出版年 | 請求記号 |
---|---|---|---|---|
郷土物語 第16輯 | 吉村 岩吉∥著 | 郷土史研究会 | 1934.11 | Y208/F 6 |
郷土物語 第17輯 | 吉村 岩吉∥著 | 郷土史研究会 | 1935.06 | Y208/F 6 |
郷土物語 第18輯 | 吉村 岩吉∥著 | 郷土史研究会 | 1936.02 | Y208/F 6 |
郷土物語 第19輯 | 吉村 岩吉∥著 | 郷土史研究会 | 1937.01 | Y208/F 6 |
山口県史 史料編 幕末維新4 | 山口県∥編集 | 山口県 | 2010.3 | Y211/M 6 |
山口県史 史料編 幕末維新6 | 山口県∥編 | 山口県 | 2001.06 | Y211/M 6 |
閑居録 旧長州藩遊撃軍隊士回顧録 | 和木村教育委員会 | 1965 | Y215.8/J 5 | |
浦滋之助日記 四境戦争を中心に | 柳井市立柳井図書館∥編集 | 柳井市立柳井図書館 | 1992.03 | Y215.8/M 2 |
征長の役 安芸口戦 | 角井 菊雄∥著 | 近代文藝社 | 1995.04 | Y215.8/M 5 |
征長の役 美和町坂上と芸州口の戦 | 恩田 計司∥著 | 恩田 計司 | 1996. | Y215.8/M 6 |
長州戦争と明治維新 | 三宅/紹宣‖[著] | [山口県] | 2004.3 | Y215.8/N 2 |
長州戦争と徳川将軍 | 久住/真也∥著 | 岩田書院 | 2005.10 | Y215.8/N 5 |
長州戦争 | 野口/武彦∥著 | 中央公論新社 | 2006.3 | 210.58/N 6 |
新説戦乱の日本史 42 四境戦争 | 小学館 | 2008.12 | Y215.8/N 8 | |
浜田城炎(も)ゆ | 小寺/雅夫∥著 | 渓水社 | 2008.8 | Y215.8/N 8 |
防長回天史 8 | 末松/謙澄∥著 | マツノ書店 | 2009.9 | Y215.8/N 9 |
長州戦争と広島 | 広島市未来都市創造財団広島城∥編 | 広島市未来都市創造財団広島城 | 2013.12 | Y215.8/P 3 |
幕長戦争 | 三宅/紹宣∥著 | 吉川弘文館 | 2013.3 | Y215.8/P 3 |
特集長州藩VS徳川幕府 (歴史読本 第60巻第3号) | KADOKAWA | 2015.1 | Y215.8/P 5 | |
四境の役 大島口 | 永本/隆道∥著 | 日良居タイムス | 2015.12 | Y215.8/P 5 |
大島口の戦い | 南野/繁∥著 | 南野繁 | 2008.10 | Y748/N 8 |
日本の歴史 18 開国と幕末変革 | 講談社 | 2002.5 | 210.08/N 0 | |
日本の時代史 20 開国と幕末の動乱 | 石上/英一∥[ほか]企画編集委員 | 吉川弘文館 | 2004.1 | 210.08/N 2 |
読む年表幕末暦 | 福田/智弘‖著 | 実業之日本社 | 2010.8 | 210.58/P 0 |
いっきにわかる幕末史 | 山村/竜也‖著 | PHPエディターズ・グループ | 2013.10 | 210.58/P 3 |
長州奇兵隊 | 古川薫∥著 | 創元社 | 1972. | Y215.8/K 2 |
長州諸隊 上巻 | 高野 義祐∥著 | 山口民報社 | 1977 | Y215.8/K 7 |
長州諸隊 下巻 | 高野 義祐∥著 | 山口民報社 | 1977 | Y215.8/K 7 |
幕末長州藩の攘夷戦争 | 古川/薫∥著 | 中央公論社 | 1996.01 | Y215.8/M 6 |
長府藩報国隊史 | 徳見 光三 | マツノ書店 | 1998.06 | Y215.8/M 8 |
長州藩幕末維新史概説 | 小山 良昌∥編 | 小山 良昌 | 1999.04 | Y215.8/M 9 |
長州奇兵隊 | 一坂/太郎∥著 | 中央公論新社 | 2002.10 | Y215.8/N 2 |
浜田藩清廉記 | 上村/敦之∥著 | 知道出版 | 2005.4 | Y215.8/N 5 |
もうひとつの明治維新 | 家近/良樹∥編 | 有志舎 | 2006.10 | Y215.8/N 6 |
薩長同盟 | 松野/浩二∥著 | 東洋図書出版 | 2015.11 | Y215.8/P 5 |
薩長同盟 | 三宅/紹宣∥著 | 萩ものがたり | 2015.11 | Y215.8/P 5 |
幕末・維新期長州藩の政治構造 | 三宅/紹宣∥著 | 校倉書房 | 1993.04 | Y216.1/M 3 |
楫取素彦伝 | 村田 峰次郎∥著 | 群馬県文化事業振興会 | 2014.3 | Y289.1/Ka86 |
忠正公勤王事績 | 中原/邦平∥著 | マツノ書店 | 2008.3 | Y289/Mo45 |
大村益次郎 | 糸屋 寿雄∥著 | 中央公論社 | 1977 | Y289/O 64 |
大村益次郎 | 大村益次郎先生伝記刊行会∥編 | マツノ書店 | 1999.08 | Y289/O 64 |
大村益次郎伝 | 木村/紀八郎∥著 | 鳥影社 | 2010.6 | Y289/O 64 |
幕末・維新の西洋兵学と近代軍制 大村益次郎とその継承者 | 竹本/知行∥著 | 思文閣出版 | 2014.12 | Y289/O 64 |
西郷隆盛と幕末維新の政局 | 家近/良樹∥著 | ミネルヴァ書房 | 2011.5 | R289.1/Sa18 |
高杉晋作と奇兵隊 | 田中/彰∥著 | 岩波書店 | 1993.07 | Y216.1/M 3 |
高杉晋作 | 梅渓/昇∥著 | 吉川弘文館 | 2002.07 | 289.1/TA54 |
高杉晋作と奇兵隊 | 青山/忠正∥著 | 吉川弘文館 | 2007.1 | Y289/Ta54/N 7 |
高杉晋作と長州藩 | 双葉社 | 2009.5 | Y215.8/N 9 | |
徳川慶喜 | 家近/良樹∥著 | 吉川弘文館 | 2014.1 | 289.1/To36 |
山県有朋の「奇兵隊戦記」 | 一坂/太郎∥著 | 洋泉社 | 2013.1 | Y289/Y 22 |
長門練兵場蔵板 活板散兵教練書 | 三宅/紹宣∥著 | [山口県] | 2008.3 | Y396/N 8 |
幕末期長州藩洋学史の研究 | 小川/亜弥子∥著 | 思文閣出版 | 1998.2 | 402.105/M 8 |