鳥尾小弥太(とりお・こやた)は、幕末から明治期に活躍した、軍人、政治家です。
弘化4年(1847年)12月5日に、長州藩士の中村宇一右衛門敬義の長男として萩市に生まれました。文久3年(1863年)に奇兵隊に入隊し、大田・絵堂の戦い、四境戦争、戊辰戦争などに参加し、軍功をたてました。維新後は、明治9年(1876年)に29歳の若さで陸軍中将に進み、参謀局長に就任するなど、明治政府の若手の俊英として、軍務を中心に活躍しました。
明治13年(1880年)に、病のため一切の官職を辞し、政治の要諦を説いた『王法論』を執筆。翌年9月、政府の腐敗を嘆いた鳥尾は北海道開拓使の官有物払い下げ事件の再議等にかかる建白書を政府へ提出しました。明治21年(1888年)には保守党中正派を結成し、機関誌『保守新論』を発行。国民の福祉と、伝統倫理を重視し、立憲制の確立に努めました。
明治38年(1905年)に没するまで、長州出身者でありながらも、政府の中で反主流勢力の中心として独自の道を行き、生涯、保守主義を貫きました。

鳥尾小弥太の没後120年にちなみ、関連資料を展示・紹介します。

展示期間:令和7年4月1日(火曜日)~6月26日(木曜日)

展示資料

ケース内展示資料

『得庵全書』
鳥尾 得庵,鳥尾光,1911.04,当館請求記号:R081.8/E 1
鳥尾の息子である鳥尾光によって編まれた著作集。「得庵」は鳥尾の号。 自伝である『恵の露』(明治34年(1901年)5月)も収録されており、いずれ名前を戻すつもりであったが「鳥尾小弥太」と改名して今に至ることについて、「容易な事も、其身に応ずれば、それが終身の本領となる、いかにも不思議の事なり」と振り返っている。
『王法論』
鳥尾 小弥太 著,北畠茂兵衛,[1883],当館請求記号:W311/B 3
政治の要諦を説いた鳥尾の著作。明治11年(1878年)から同13年(1880年)にかけて執筆された。 「天地平等、万物一体」の言葉から始まり、政治は民意に基づくべきであるという主張が全編をとおして表れている。

借りることができる資料

『奇兵隊』
一坂/太郎∥著,奇兵隊士研究所,1993.06,当館請求記号:Y215.8/M 3
『長州奇兵隊』
一坂/太郎∥著,中央公論新社,2002.10,当館請求記号:Y215.8/N 2
『防長の隠れた「偉人」たち』
一坂 太郎∥著,春風文庫,2002.01,当館請求記号:Y280/N 2
『萩ゆかりの人物データブック』
萩博物館∥編集,萩博物館,2020.3,当館請求記号:Y280/Q 0
『定本奇兵隊日記 上』
田村 哲夫∥校訂,マツノ書店,1998.03,当館請求記号:R215.8/M 8
『定本奇兵隊日記 中』
田村 哲夫∥校訂,マツノ書店,1998.03,当館請求記号:R215.8/M 8
『定本奇兵隊日記 下』
田村 哲夫∥校訂,マツノ書店,1998.03,当館請求記号:R215.8/M 8
『定本奇兵隊日記 別冊付録』
田中 彰∥編集,マツノ書店,1998.03,当館請求記号:R215.8/M 8
『近代日本の政党と社会』
安在/邦夫‖編著,日本経済評論社,2009.11,当館請求記号:R315.1/N 9
『幕末・明治名将言行録』
近世名将言行録刊行会‖編,原書房,2015.3,当館請求記号:210.61/P 5
『頭山満直話集』
頭山/満‖談,書肆心水,2007.1,当館請求記号:289.1/To79

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