「郵便事業の始まり」

明治維新人物ギャラリー資料展示「郵便事業の始まり」のポスターです。

メールが日常となった今でも、年末年始のご挨拶は郵便で、といった方も多いのではないでしょうか。

日本で郵便制度が始まっておよそ140年が経ちました。現在では様々な通信手段が発達していますが、郵便で扱われる荷物は年々増えており、今なお重要な役割を果たしています。

当館が所蔵する貴重書の中から、1円切手の肖像でも知られる前島密関係資料のほか、郵便事業についての資料を展示します。

期間:平成24年12月1日(土曜日)~平成25年2月27日(水)

日本の郵便制度の始まり

近代国家を目指した明治政府は、西洋の制度を取り入れた新たな国づくりを進めました。郵便制度の導入は、英国が1840年代に行った郵便改革にならったもので、前島密(まえじま・ひそか 1835―1919)の立案に基づき、明治4年(1871)に始まりました。

明治4年3月1日に、東京―京都―大阪の間に「新式郵便」が開始され、郵便切手も発行されました。3月に始まった制度は、年末には路線も長崎まで延長され、翌年の明治5年(1872)7月には、ほぼ全国にわたって郵便制度が実施されました。

当時は、従来の飛脚便も営業していましたが、実際に飛脚便を利用していた人は町や村の有力者など限られた人たちで、手紙を書いたり受け取ったりすることは、大変まれでした。このため前島密らの政府関係者は、「郵便」制度そのものの理解を広めるため大変苦心したようです。創業の年の1月には郵便創業の布告と同時に『書状を出す人の心得』が発表されています。

この心得には、書状はどのように出せばよいか、切手の買い方・貼り方、文字の書き方など細かなことが示されています。

取扱機関としては大都市に「郵便役所」のほか、民間の「郵便取扱所」が設けられましたが、明治8年(1875)には「郵便局」と名称が統一されました。

参考:「国史大辞典」(吉川弘文館)

展示資料の紹介

『大日本帝国郵便切手沿革誌』(貴重書)
逓信省通信局、1896
明治4年から明治27年までの、郵便切手・葉書・電信切手などの沿革を、見本を添えて一覧できるように編集されたものです。
記念切手「吉田松陰」(貴重書)
昭和34年(1959年)10月に山口県で開催された 全国PTA大会を記念し、発行された切手シート。切手の図案は、見開いた本のイラストの右ページに吉田松陰像、左ページに「日本」「PTA」の文字とマークが描かれています。
『日本郵便の父前島密遺墨集』(郵政省逓信博物館資料図録別冊2)
郵政省逓信博物館、1986.08、[当館請求記号:R289.1/MA27]
『郵便創業談  郵便の父前島密遺稿集』
前島/密‖[著]、逓信協会、1936、[当館請求記号:B693.2/G 6 ]
『逓信資料 第3集 郵便制度篇』
郵政省逓信博物館∥編、郵政省逓信博物館、1951.8、[当館請求記号:BH691/I 1]
『逓信資料 第10集 組織(官制)篇』
郵政省逓信博物館∥編、郵政省逓信博物館、1952.9、[当館請求記号:BH691/I 1]

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