公開日:2007年7月11日
県立図書館の書庫には100年の蓄積で、およそ60万冊の資料があります。「蔵出し資料展」は県民の財産であるこれらの資料をいろいろなテーマによってお見せする展示です。
昭和11年11月10日最愛の息子文也を失った中原中也は、喪失感と哀しみの中で、次第に心を病んでいきました。昭和12年1月中村古峡療養所に入院し治療を受けます。入院中も詩を発表、創作活動は衰えませんでした。
療養所では、院長中村古峡による談話会が開かれ、精神医学や仏教概説の講話は、中也のその後の精神生活や読書に大きい影響を与えたものと思われます。
退院後、文也の思い出から逃れるために鎌倉に移転、その転居記録から始まるのが「ボン・マルシェ日記」です。この名称は日記帖の裏表紙に印刷された「Au Bon Marche」(フランス大手の百貨店)に基づいて、『新編 中原中也全集』(2003 角川書店)の編者が付した仮称です。
今回は、中也がその生を閉じた昭和12年の読書歴を日記で探り、当館所蔵資料の中から紹介します。
期間:2007年7月10日(火曜日)~7月29日(日曜日)
場所:2階参考カウンター前
関連ページ:月間資料展示「中原中也と山口の詩人」、蔵出し資料展「日記に見る中也の読書」
昭和12年の日記より
3月14日
- 『宗教哲学』
- 石原謙 著,岩波書店,1916.7,請求記号:R161.1/E 6
3月30日
- 『比較人種學的美學藝術の始源』
- エルンスト・グローセ 著 安藤 弘 譯,岩波書店,1921.6,請求記号:702.02/F 1
4月4日
- 『ケーベル博士随筆集』
- ケーベル [著] 久保 勉 訳 安部 能成 編,岩波書店,1937,請求記号:134/G 7
4月27日
- 『葛西善蔵小説集 第一巻』
- 葛西 善蔵 著,改造社,1934,請求記号:KA72
5月1日
- 『世界大思想全集 7 ノーヴァム・オルガヌム 方法通説 民約論』
- ベーコン [ほか]著 岡島 亀次郎 [ほか]訳,春秋社,1927,請求記号:R108/F 7
5月12日
- 『葛西善蔵小説集 第三巻』
- 葛西 善蔵 著,改造社,1934,請求記号:KA72
5月15日
- 『葛西善蔵小説集 第五巻』
- 葛西 善蔵 著,改造社,1934,請求記号:KA72
5月17日
- 『イエス』
- ヴィルヘルム・ブッセ 著 林 達夫 訳,岩波書店,1936,請求記号:192.8/G 6
6月17日
- 『葛西善蔵感想集』
- 葛西 善蔵 著,改造社,1934,請求記号:KA72
9月5日
- 『哲学的散歩』
- グウルモン [著] 石川 湧 訳,春秋社,1937,請求記号:104.9/G 7